研究紹介
磁場中に置かれた強磁性体(磁石)にマイクロ波をあてると特定の条件下で,
マイクロ波の吸収が観測されます.
この時,マイクロ波を強くすると吸収強度が時間的に振動を始めます.その振動は最初は規則的ですが、やがて不規則なカオス振動へ変化します。カオスとは一
見無秩序な振動に見えても,
実は簡単な決まりに従って運動が起こっている現象のことです.
この現象を,実験とシミュレーションの両面から研究しています.
磁場中の磁性体にマイクロ波をあてると, 磁場の強さとマイクロ波の周波数が共鳴条件を満足する時に, マイクロ波の吸収が観測されます. これが, 電子スピン共鳴 (ESR) と呼ばれる現象です. この共鳴条件を詳しく調べること,物質の持つ様々な性質がわかります.
バルクハウゼンノイズとは,
磁性体の磁化過程で磁化が不連続に増加する時に観測されます.
簡単に説明すると,鉄に磁場を加えると鉄の磁化が磁場の方向に増加します.
この時磁場を一定の割合でなめらかに増加させても,
磁化は階段状に不連続を伴って増加します.
この階段の幅と高さの分布が自己相似,つまりフラクタルであることがわかっています.
磁性体に直線偏光の光を当て磁性体を通過させると,磁性体のもつ磁化の影響を受けて,
光の偏光面が回転する現象をファラデー効果
この現象を利用して,偏光顕微鏡で磁性体の磁区構造を観測することが
できます.2次元磁性体の磁区は迷路状の構造がよく知られていますが、条件によっては平行なストライプ構造や島海構造、格子構造など様々なパターンを示し
ます。液晶や熱対流などと同様に、固体中に多くのパターンが観測されることは大変興味深いことです。これらのパターン形成過程について、学外の理論グルー
プと共同しながら研究を進めています。